2018年2月23日金曜日

美術の本。(改)

美術にまつわる本で読んでいて面白かったもの紹介します。
美術本は、批評など、よくわかりにくいもの多々ありますが、割りと作り手が書いた本は共感しやすく、ハッとさせられることも多いです。
※ブログですが、徐々に紹介する本増やしていきます、更新型で行きます!(2018 2/23)


『美術、応答せよ! −小学生から評論家まで、美と美術の相談室−』  森村泰昌
目次 「ヨーロッパばかりでずるい」「オリジナルのものって?」「抽象画ってどうやって描くのでしょうか?」(ほか)
非常に素朴な質問にも丁寧にかつ森村氏視点で応える形式の本。「表現者として震災に向き合うのは可能でしょうか?」の項目はとても興味深かった。作者の考え方もわかる、とても楽しい本でした。

『間抜けの構造』 ビートたけし
「映画や絵画や音楽といった芸術、野球やサッカーや相撲といったスポーツ、踊りや茶道といった芸事、そして人生にいたるまで、あらゆるジャンルにおいて”間”というものは、決定的に重要なものだ。」
「日本語は本当に”間”のつく言葉が多いし、その意味も多岐にわたる。「瞬間」「間近」といった時をあらわすものから、「居間」「床の間」「間尺」「間合い」といった距離や空間をあらわすもの、「人間」や「世間」といった関係性をあらわすものまで幅広い。」
日本特有の「間」について考える、これも読みやすかったです。

『秘密の知識-巨匠も用いた知られざる技術の解明-』"Secret Knowledge"  デイヴィッド・ホックニ- 日本語版(翻訳:木下哲夫)
『Secret Knowledge -- Rediscovering the lost techniques of the Old Masters』 David Hockney
二年に渡る名画の研究。私が批評家の本より、作家の本が好きな理由の一つでもある、「作りて視点」の目線で徹底的に過去名画の研究、秘密に迫る。すごくわかりやすいし、とてもピュアな目線。素晴らしく徹底して仮説し、研究する。徹底的なのはオタクっぽいが、オタクにありがちな狭義な目線ではなく、非常に大観的でもあるのが好き。

『絵画の歴史-洞窟絵画からipadまで』デイヴィッド・ホックニー (著),‎ マーティン・ゲイフォード (著),‎ 木下 哲夫 (翻訳)
近年出版された本。対談形式のでわかりやすい。口語体で書かれているとその人(に模した)の語り口調で書かれるので、伝わりやすいように思います。翻訳も秘密の知識と同じく木下氏。映像、写真も絵画の見方から論じるホックニー。2次元・平面絵画を掘り下げていく。
「ハリウッド映画はほとんどがカラバッチオ」という観点、流石ですw

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』山口 周 (光文社新書)
「美術がなぜ経営に必要なのか」を問うのですが、結果的に教育にも美術が必要だな、と思わせる本。日本では美術教育等が90年代からどんどん削減されていきましたが、本当に政府の愚行愚策。でも増やす、といっても現行の教育システム変わらずただ増やされてもまたダメなのですが。「鑑賞」眼を養うことによって美意識的に「直感=判断力」が養われる、ということを解説する筆者。これは今現在読まれるべき、タイムリーな本。


日本画、日本画近代史にまつわる本

『日本美術の見方―中国との比較による』 戸田禎佑
日本美術の、中国美術との深い関わりと、全く別の日本的なものに変わることが興味深い本です。

『日本近代文学の起源』  柄谷行人
明治期に、近代化から発足した「文学」を通じて、日本語における文学の成立した仕組みも紐解く本。同時に近代化とは何か、という壮大なテーマをも論じる。近代、変革を経て出来た「日本画」「美術」に置き換えることで、類似ポイントを考察できます。

『忘れられた日本人』  宮本常一
戦前の日本の村々や離島に取材し、その様を生き生きと綴る。特に結論は筆者は言わないが、現代にも既存する風習や因習の流れを考察することもできる。昔住んでいた人を想像出来うるほど良くディティールが描かれ、読んでいて楽しかったです。美術とは関係ないですが、やはり近代の思考を考察できる本。

『逆説の日本史シリーズ』  井沢元彦
これも美術と言い難いですが、「日本画」の『日本』て部分を考える時、『日本画て、素材じゃない説』を勝手に仮説していたりするのですが、その元になる「日本人とは?」を考察出来る本。歴史の本ですが、日本人の考え方、怨霊信仰やケガレ思想、言魂信仰など風習/習慣/因習もまた研究されていて、面白かった歴史本です。
最近世界史バージョンも出ててそれも興味あります。

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